社会のニーズと解離する“高プロ”
まとめ
- 年収が高い専門職の人を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」を導入した企業が、昨年4月の制度導入導入から1年間で約10社、適用された働き手が414人にとどまった。
- 今年3月末までの1年間に各地の労基局が受理した決議届は12件。同じ企業の届出を複数カウントする場合もあるため、届け出たのは約10社とみられる。
- 高プロは2018年6月に成立した働き方改革関連法に盛り込まれ。19年4月1日に導入された。残業時間の罰則付き上限規制など、労働時間の規制強化策と抱き合わせた法案として審議され、主要野党は「残業代ゼロ」制度などと強く反発して削除を求めた経緯がある。
高度プロフェッショナル制度とは
- 高度プロフェッショナル制度は、高度の専門的知識等を有し、職務の範囲が 明確で一定の年収要件を満たす労働者を対象として、労使委員会の決議及び労 働者本人の同意を前提として、年間104日以上の休日確保措置や健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置等を講ずることにより、労働基準法に定められた労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定を適用しない制度です。(引用:厚生労働省 高度プロフェッフョナル制度 わかりやすい解説)
- 年収1,075万円以上であり、金融商品の開発、ディーリング、アナリスト、コンサルタント、研究開発、の5つの業務に当たる人が高プロの適応となる。
考察
大きな議論を読んで創設されたこの制度だが、蓋を開けてみると需要が無かったということが出来る。適用を増やそうとするならば、年収を引き下げたり業種を拡大するしかないだろう。しかし、そうなると、企業は労働基準法に定められた労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定を適用しないこの高プロを従業員に強いることに繋がりはしないだろうか。
政府が提唱する「働き方改革」とは本来、働く人が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、 自分で「選択」で出来るようにするための改革であるはずだ。従業員が雇用主から働き方の選択肢を強いられるものではないだろう。
引用