ヨミカツ

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未来にあるべき企業の姿

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まとめ

  • 中国企業が「従業員シェアリング」と呼ぶ雇用安定策を進めている。従業員は元の店との雇用関係を維持しつつ配送員として働き、店が再開すれば元の職場に戻れる。中国政府によると、この対策で400万人以上の収入を保ったという。
  • IT大手アリババ集団は従業員シェアを思いつき、傘下のネットスーパー「盒馬鮮生」で苦境の飲食店やカラオケ店40社の従業員5千人を臨時雇用して配送網を維持した。
  • アリババ広報は「従業員シェアリングの常態化を議論している」といい、中国の雇用安定作として定着しそうだ。

考察

中国で従業員シェアリングを行っているという話を聞き、以前読んだ藤沢周平の「孤剣」を思い出した。

主人公、又八郎は藩元から送られた刺客である。雇い主である藩元からもらった前払いの金を家族へ託した後、江戸に送られた。江戸に着いたあとは口入屋から日雇いや一定期間の用心棒の仕事を紹介してもらいその日を暮らしながら、情報を仕入れ仕留めるべき獲物を狙っていた。

口入屋とは今で言う職業斡旋所のようなもの。仕事を求める者は口入屋へ出向き、もらえる手間賃と仕事の内容を検討し、仕事をもらう。中には又八郎のように事情があり、日雇いの仕事を求めている侍も多く、口入屋も重々承知している。

元禄の時代に今の中国が行っている従業員シェアリングと似たようなシステムが存在していたと気付き感心した。

今の雇用状態は一度企業と雇用契約を結んだら、その企業にしか従事出来ない。企業側は優れた人材を確保しておくことが出来るが、今回のような有事には優秀な人材が企業から離れてしまう懸念がある。過去の元禄時代のシステムや、現在の中国で行っているような従業員を互いにシェアしあうシステムは一見従業員のことをおざなりに扱っているようで親身に対応している例だと言えるだろう。

そもそも雇用主と従業員の間に主従関係が発生していることに対しても意義を申し立てなければならない。賃金を払っているからといって、従業員の意思を本来無下には出来ないはずである。企業の生き残りと従業員への保証、この2本柱が連立することが本来の企業の責任と言えるのではないだろうか。

 

参考