ヨミカツ

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ソーシャルディスタシングと資本主義社会の未来

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まとめ

  • 新型コロナウイルスの感染を防ぐため、「ソーシャルディスタシング(社会的距離を取る行動)」が広がっている。
  • 他人と離れるというのは新しいルール。今までは『順に奥に詰めて下さい』が通常のルールだった。
  • 新潟青陵大の碓井教授は「人は物理的な距離に反して心理的な距離を取るのだ」。「逆に距離が遠くなれば、視線を合わせようとするし、心理的に近づこうとする」と言う。

 

パーソナルスペースとは

パーソナルスペース(英: personal-space)とは、他人に近付かれると不快に感じる空間のことで、パーソナルエリア、対人距離とも呼ばれる。一般に女性よりも男性の方がこの空間は広いとされているが、社会文化や民族、個人の性格やその相手によっても差がある。

一般に、親密な相手ほどパーソナルスペースは狭く(ある程度近付いても不快さを感じない)、逆に敵視している相手に対しては広い。相手によっては(ストーカー等)距離に関わらず視認できるだけで不快に感じるケースもある。(パーソナルスペース - Wikipediaより引用)

 

アメリカの文化人類学者のエドワード・ホールは相手との距離感を以下の4つに分類しました。

  • 【公衆距離】350センチ以上。講演会、演説などでの距離。1対1のコミュニケーションはとりにくい。
  • 【社会距離】120センチ~350センチ。相手の身体に触れるのが難しい距離だけれども相手とのコミュニケーションはとれる距離。会社での改まった話をするときなどのスペースです。
  • 【個体距離】45センチ~75センチ 手を伸ばすと相手に触れる事の出来る距離です。友人や会社の同僚など親し人であれば入っても不快にならない距離です。
  • 【密着距離】0センチ~45センチ 家族や恋人など特定のごく親しい人だけが許されている距離です。それ以外の人が近づくと不快感を感じてしまいます。

また、一般的に男性の方がパーソナルスペースが広く、女性の方が狭いとされています。また、男性は前方に広い楕円形の形をしており、女性は前後左右の距離が一定な円形をしているとも言われています。性格的には内向的な人の方がパーソナルスペースが広く、外交的な人の方が狭い傾向にあります。

 考察

今回の新型コロナウイルスの感染予防対策として示されている2メートルの間隔を開ける“ソーシャルディスタシング”という名前はエドワード教授の分類で言うと【社会距離】から取られたということが分かりました。

社会距離(120センチ~350センチ)とは、相手の身体に触れるのが難しい距離だけれども相手とのコミュニケーションはとれる距離。会社での改まった話をするときなどのスペースとエドワード教授は定義していますが、今回のこのソーシャルディスタシングが浸透していますが、個人的にはとても心地よく感じます。これまでに知らず知らずのうちに人から圧倒されていたと気付きました。

ソーシャルディスタシングはこれまで「他人よりいち早く」「率先して」が優位とされてきた資本主義的な考え方に一石を投じることが出来るのではと感じています。皆が「誰よりも自分が抜きん出ること」「他人より先に動くこと」を良しとする思考のままでは「持続可能」な社会を作ることは不可能でしょう。「誰よりも抜きん出る」ことは、一見抜きん出た人が得をするように見えますが、現実は他の多くにマイナスの影響を与え、マイナスの回収に多くの労力を要することなるからです。

今回のこの新型コロナウイルスの騒動は資本主義社会が蔓延った世界に、一市民の行動ベースで新たな価値観を浸透させていく側面があるのではと思います。

参考