オンライン診療は今後日本に根付くのか?
まとめ
・スマートフォンなどを使い、自宅で医師の診療を受ける「オンライン診療」について、政府は過去に受診歴がない患者についても、初診からオンライン診療を受けられるようにする方針を固めた。
・実際にオンライン上のみでの診断、薬の処方が可能かどうかは医師の責任で判断することに。
・薬の転売や患者なりすまし問題も懸念されるため、今後詳細については詰めていく。
・4月11日追記:電話やオンラインでの初診料について、対面と比べ、医師が患者から得られる情報が少ないことから、対面よりも740円低い2,140円(3割負担の患者は自己負担640円)とるすことを決めた。
参考:オンライン診療、即日可能 新型コロナ:朝日新聞デジタル
個人的に気になったこと
・保険証の提出や診療代の支払いはどうするのか?オンラインで完結するのか、次回通院時にまとめて支払いになるのか
・風邪を引いた時などは喉の腫れを診てもらったり、心音を確認してもらうことが多いがそれがなくても適切な診断は可能なのか
・高齢者など病院に行きたいけど、いけない人に対して効果的な施策となりうるのか
・オンライン診療が受けれる病院は居住地の近くなど制限はあるのか
考察
オンライン診療が「木を見て森を見ず」にならないか
私はこれまでに(電話でのやりとり後、数日以内に病院に伺うことを前提に)検査の結果を電話で聞いたり、薬服用後に生じた体調不良に関して継続的なヒアリングを電話で行ってもらった経験が過去にあります。忙しい時や体調が思わしくない時などどうしても病院にいくことが難しい時にはとても助かりました。
しかし、これらのケースと今検討しているケースは「実際に医師が一度現状を見ているか」という点に置いて大きく異なってきます。
いつものかかりつけの医師であれば、患者の声の張りや息の臭い、顔色や触れた時に感じる体温で異常を察知することが出来るでしょう。オンライン診療では初見の患者に対して患者が訴えている内容のみで診断を下すことになります。
ⅲ 医療の質の確認及び患者安全の確保
オンライン診療により行われる診療行為が安全で最善のものとなるよう、医師は自らが行った診療について、治療成績等の有効性の評価を定期的に行わなければならない。
という項目が記されています。よって、医師は自身の診断が適切だった否かを確かめるべく、追って経過観察をしなければなりません。これによって、ある一定の水準を保つことは出来るのかなと思いました。
オンライン診療は血圧を下げる薬や整腸剤、点眼薬などいつも患者が恒常的に使用している薬の追加処方を受ける際には有効ですが、 ある日突然体調を崩した、熱が出た、お腹を下したなど大きな病気の初期症状も疑われる場合の診察にはリスクがまだあると感じました。
医師が情報の一部として得ている患者の声の張りや息の臭い、顔色や触れた時に感じる体温などの情報や採血、レントゲンなどの検査なく、患者の自己申告になってしまうと「木を見て森を見ず」にならないかとの懸念が残ります。
オンライン診療が導く医療の可能性
一方で、居住地に問わられず医師が通院要した場合には指定した病院に赴くという約束の上でオンライン診療が可能になるのであれば、地方で最新の治療を受けることが出来るなど医療に関する地方格差もだいぶ減るのではないかと感じました。
また、転勤が多い人によってはその都度かかりつけの医師が変わることになってしまい、毎回体質や病状を一から伝えねばなりません。しかしオンライン診療が可能になれば離れた居住地に住んでいてもかかりつけ医師の診察を受けることが出来、安心感が得られるのかなと思います。
地域を越え、病院で診察を受けることが出来るようになるには、医師の診療・診断の精度の恒常に加え、オンライン支払いなどのインフラも整えていく必要があるでしょう。