皆さんはキャッシュレス決済、利用していますか?クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード、電子マネー、スマホのアプリ決済など日に日にキャッシュレス機能を有するものが増えていきます。また、それぞれの発行体が独自に付与する特典が異なっていることも相まって私たちのライフスタイルに合わせて、お金を各種のキャッシュレス発行時業者から支払うことも可能になってきました。
私が日常で使っているのはLINE payです。ネット通販やコンビニなどで買い物する時にLINE payで決済しLINEポイントを貯め、スターバックスで使える商品券に引き換えています。また、LINE payの他にも日々の食料品はイオン系列のスーパーを使用しているので食費の支払いにはWAONを使用し、公共交通機関を使用する時にはsuicaを使っています。
紙幣や小銭を持たなくともスマホ1台を持ち身軽に外出出来るようになるなんて10年前には想像も出来ない世界でした。今回はこのキャッシュレスと日本の未来についてお話していこうと思います。
日本で広がるキャッシュレスの波
日本政府は2019年に経済産業省の指揮の元、キャッシュレス・ポイント還元事業(キャッシュレス・消費者還元事業)が始まりました。
このキャッシュレス・ポイント還元事業は2019年10月から施行された消費税の増税にあたり、消費が冷え込むことを防ぐための1つの施策です。キャッシュレスで支払う度に購入金額の5%、もしくは2%がポイントとして後日消費者に還元されるというシステムです。このマークを街の至るところで目にした方も多いのではないでしょうか。
キャッシュレス決済は現金を用意する手間や、財布の中から小銭を探す手間が省けスピーディーに買い物が出来るというメリットがあると同時に、取引に関わる履歴が全て記録されるので、不正なお金の動きを防ぐという側面もあります。このようなメリットを持つキャッシュレスが注目され、2019年の増税のタイミングで国が力をあげてキャッシュレスの普及に取り組んだのでしょう。
日本がかつて国を挙げて取り組んだ施策
キャッシュレスと同様に、かつて日本国が力を入れて国民に普及させようとしたものの1つにマイナンバー制度があります。
マイナンバーとは社会保障・税番号制度のことでマイナンバーとは、日本に住民票を有するすべての方(外国人の方も含まれます。)が持つ12桁の番号です。
マイナンバーは、社会保障、税、災害対策の3分野で、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されます。
これまでも、例えば、福祉サービスや社会保険料の減免などの対象かどうかを確認するため、国の行政機関や地方公共団体などの間で情報のやりとりがありました。
しかし、それぞれの機関内では、住民票コード、基礎年金番号、健康保険被保険者番号など、それぞれの番号で個人の情報を管理しているため、機関をまたいだ情報のやりとりでは、氏名、住所などでの個人の特定に時間と労力を費やしていました。
社会保障、税、災害対策の3分野について、分野横断的な共通の番号を導入することで、個人の特定を確実かつ迅速に行うことが可能になります。
つまり、マイナンバー制度が目指しているのは、「便利な暮らし、より良い社会」です。
との記載がありました。(出典:総務省HP)
2018年1月からマイナンバー制度が施行され、順次国民にマイナンバーが送付されていきましたが、施行開始から4年が経過した2020年1月現在、マイナンバーカードの取得は全国民の15%(1910万枚)程度との算出が出ています。(出典:朝日新聞https://www.asahi.com/articles/ASN353GM1N2WUUPI002.html)
マイナンバーカードの導入を検討しているというニュースは大きな議論を呼びましたが、多くの意見が飛び交い、賛否両論が巷に溢れた経緯があるのでその取得率が落ち込んでいるのかも知れません。
明暗を分けたキャッシュレスとマイナンバー
一方で2019年から施行されたキャッシュレス・ポイント還元事業ですが、2020年4月1日時点の加盟店登録数は、約108万店、2019年10月1日~2020年1月27日までの対象決済金額は約4.9兆円、還元額は約2020億円に昇りました。
(出典:経済産業省HP 登録加盟店の地域分布及び店舗の種類別の登録状況と利用状況等)
また、1,000円以内の小学の決済時に多く使用され、若者を中心にスマホ決済がされているという点や、スマホ決済(QRコード型)は、セキュリティに対する不安が一部挙がるものの、ICカード型の電子マネー・スマホ決済(タッチ型)に比べて「ポイント還元」にメリットを感じているという傾向も見えてきました。(出典:NECソリューションイノベーター 一般消費者におけるキャッシュレス利用実態調査レポート)
キャッシュレスは若者が中心になって使用していることもあり、今後も広く普及していくことが予想されます。キャッシュレスが広まった理由の1つに「消費行動」という誰しもが日常的に行われてきた行動の形態を変化させるだけでポイントを付与するというメリットを打ち出したことで更に消費行動が促されたというのもあるでしょう。
社会保障、税といった社会生活を営む上では重要であるものの、若者が日常であまり目にする機会がなく、恩恵を受けることの少なかった分野だったというのもマイナンバーが積極的に使われることのなかった理由になるかも知れません。
国難から韓国を救ったキャッシュレス
今世界を揺るがしている新型コロナウイルス。各国が感染者の急増による医療現場のひっ迫に喘いでいることについては連日のニュースで報道されており、皆さんご存知のことでしょう。新型コロナウイルスの感染の中心となったアジア圏で感染者の急増を認めていた国のなかに韓国があります。2月23日時点での感染者数は556人で、中国に次ぐ世界2位の感染者数となってしまいました。
そんな国難とも言える状態に陥った韓国ですが、医療崩壊は起こっていません。医療崩壊を防げた理由として1日2万件もの検査能力を有すること、わずか10分で陽性者の移動追跡が完了してしまうこと、ベッド数の充実などが挙げられています。
中でも私が注目したのは10分で新型コロナウイルスの陽性者の足取りを掴むことが出来る、という点でした。韓国ではキャッシュレスの履歴を調べ、これまでの行動履歴を10分で洗い出すことに成功しているとのことでした。
今や韓国もほぼ現金を使わないキャッシュレス社会。地下鉄やバスなどの公共交通機関は交通カードを用い、タクシーや買い物をする際にはクレジットカードを利用しているそうです。日本の現状ととても似ているなと感じました。
(参照:https://www.asahi.com/articles/DA3S14427787.html?iref=pc_ss_date)
キャッシュレスが根付いた先にある未来とは
韓国の陽性者の足取りをキャッシュレスによって追うという例はキャッシュレスがもたらすメリットとしては予想しないものだったでしょう。しかし、この革新的なアイデアが実際に今窮地に陥りつつある韓国を救っているのです。
現金主流の世界ではお金の流れや消費者の行動は今まで目に見えることはありませんでした。しかし、韓国の事例によって消費者の行動は逐次追うことが出来ると言い切れる事例が世の中に誕生したのです。
もちろんキャッシュレスのデータから個人が特定されるような使い方を汎用するのは思わしくありません。しかしながらPOSデータから導き出されるもの以上のビックデータがキャッシュレスのデータには眠っています。
日本では今後もキャッシュレスの流れが広まっていくでしょう。その時にこの宝の山のようなデータをどのように使うかによってその未来は大きく異なります。キャッシュレスに伴う消費行動によって蓄積されるデータが日本や事業者、引いては国民を救う日も近いのでは無いでしょうか。